円形脱毛症について
脱毛症には数多くの種類があり、「脱毛」といっても原因も症状も様々です。
よく見られる脱毛症は大きく分けて、①円形脱毛症、②男性型脱毛症があります。一般に円形脱毛症は病的な脱毛症、男性型脱毛症は生理的な脱毛症と考えられます。
円形脱毛症はコイン大から始まり徐々に拡大する脱毛であり、多発してすべての頭髪が抜けてしまったり(全頭脱毛症)、頭髪以外に眉毛や脇毛などすべての毛が抜ける(汎発型脱毛症)こともあります。
円形脱毛症の原因
原因は、精神的ストレス、内分泌異常、自己免疫疾患などがあげられますが、はっきりとわかっていません。
円形脱毛症は自己免疫性疾患の一種と考えられ、もともと細菌やウイルスなどに対する防御に働いている免疫が、なんらかの理由で毛包(毛の根本)を攻撃してしまうことで発症すると考えられています。
実際、円形脱毛症の方は甲状腺疾患・尋常性白斑・SLE・関節リウマチなど、ほかの自己免疫性疾患も合併することが知られており、とくに甲状腺疾患は8%の合併率と報告されています。
また、アレルギー疾患の合併も非常に多く見られ、約半数の方がアトピー性皮膚炎・喘息・アレルギー性鼻炎などを合併していると言われています。
円形脱毛症の検査
診察だけで診断がつくことがほとんどですが、拡大鏡(トリコスコピー)を使って毛包を見ると、よりわかりやすくなります。自己免疫性疾患やアレルギー疾患の合併が疑われる場合には、血液検査などを行います。
円形脱毛症の治療法
病気が始まってからの期間と脱毛面積などに応じて決定します。
①塩化カルプロニウムやステロイドなどの外用剤の使用
②ステロイドやセファランチンなどの内服療法
③紫外線療法
2020年4月から保険適用となり、当院でも多くの患者さまが来院され効果があります。
④ステロイドの局所注射
⑤局所免疫療法
局所免疫療法は、かぶれを起こす特殊な薬品(SADBE、DPCPなど)を脱毛部に塗って、人工的にかぶれを起こして発毛を促す治療法です。当院では行っていませんので、連携病院にご紹介いたします。
⑥ステロイドパルス療法
急激に拡大した重症の円形脱毛症に、ステロイドを短期間に大量に点滴する方法ですが、入院が必要なため、適切な連携病院をご紹介いたします。